LDLコレステロール値は正常範囲でも、HDLコレステロール値が低いと動脈硬化は進行していきます。
なぜなら全身にあるコレステロールを回収するのがHDLだからです。
LDLが基準値でもHDLの数値が低い場合は動脈硬化は進んでしまうのです。
HDLコレステロールの基準値は「40mg/dl以上」と定めており、それ未満の場合「低HDLコレステロール血症」と診断されます。
これは高LDLコレステロール血症と同じく「脂質異常症」という疾患の一つとなります。
では、どうすればHDLコレステロールを増やすことができるのでしょうか?
このページでは、HDLコレステロールが下がってしまう原因、増やす方法、LDLコレステロールとのバランス「LH比」など、HDLを増やす方法と知識を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事のもくじ
HDLを増やすための基礎知識:コレステロールの役割
コレステロールは私達の体内でどんな働きをしているのでしょう。
コレステロールには
- 細胞膜を作る
- 筋肉を作るホルモンの原材料になる
- 栄養分の分解・栄養を吸収する胆汁酸の原材料になる
といったとても重要な役割があります。
そして、悪者だと思われがちなLDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、コレステロールを全身に供給する役割をしています。
それに対してHDLコレステロール(善玉コレステロール)は、全身に運ばれ過剰となったコレステロールを回収・排出する役割があります。
低HDLコレステロールになるとどうなる?
では、HDLコレステロールが基準値以下になってしまうとどうなるのでしょうか。
HDLコレステロールには体内(細胞)に蓄積された古いコレステロールを回収し、肝臓に送る働きがあります。
しかし、HDLコレステロールが少ない場合、回収しなくてはならないコレステロールが回収しきれず、細胞にそのまま残された状態となってしまいます。
そうして増加しすぎたコレステロールは血管に溜まって、動脈硬化を進行させてしまいます。
つまり「HDLコレステロール値が低いと動脈硬化が進行しやすい」ということになるのです。
そこで大切にしたい「LH比」の考え方
コレステロールを全身に運ぶのがLDLなら、回収するのがHDLです。
そこで、HDL・LDLを別々に考えるのではなく、両方のバランスを重要した「LH比」を目安にすることが大切です。
このLH比とはLDLコレステロール値をHDLコレステロール値で割った値のことで、LDL÷HDLの数値によって血管の目安が分かると言われています。
LH比 | 血管内の状態の目安 |
1.5以下 | 良い状態、健康な状態 |
2.0以上 | コレステロールの蓄積が増えている、動脈硬化の恐れあり |
2.5以上 | 血栓の可能性もあり、心筋梗塞のリスクも増えている |
たとえば、HDLが45mg/dL、LDLが110mg/dLであった場合、それぞれ単独の数字は基準値内のため問題ありませんが、LH比を計算してみると、110÷45=2.4のため、LH比は2.4となります。
2.4という数値はLH比としては高く、動脈硬化も疑われる可能性があるのです。
「低HDLコレステロールの原因」や「対処法」を紹介していきますが、「LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスが大切」であり、HDLを増やすとともに、LDLを減らす工夫も是非していってくださいね。
低HDLコレステロールの原因
ここではHDLが低くなってしまう大きな2つの原因について説明していきます。
- 体質
- HDLが低くなりやすい生活習慣
体質
HLDが低くなってしまうポイントの一つに「体質」があります。
これは、いわゆる「遺伝」などの先天性のものとなり、例えば家族に脂質異常症の方がいるなど、脂質異常症になりやすい体質であるということです。
しかし、このような「遺伝・体質」によって低くなりがちな人でも、食事や運動などの普段の生活習慣に気をつければならないようにすることもできます。
そして、体質などでは全くなかった場合「普段の生活習慣」という後天性の要因が大きなポイントとなるといえます。それでは、HDLを低下させてしまう生活習慣とその改善について、掘り下げていきましょう。
低HDLになりやすい生活習慣
生活習慣の改善というと身構えてしまいがちですが、低下させてしまうのは以下のとおりとても基本的で身近な習慣ばかりとなります。
- タバコ
- 肥満
- 運動不足
- お肉類
- 甘いもの
- 野菜・魚不足
- お酒
これらはLDLコレステロール値や中性脂肪値の改善でも必ず挙がってくる習慣ばかりです。
それだけコレステロールや中性脂肪などの脂質と密接に関わってくる生活習慣です。
HDLは「減らさない」工夫と「増やす」工夫の2つが大事
HDLを増やすには、まずは先ほど紹介したようなHDLを減らす生活習慣をやめることからはじめましょう。
そうして「HDLが減らない体の環境」が整ったところで、「増やす」工夫も行っていくことで、より改善しやすくなるはずです。
- 適度な有酸素運動に取り組もう
- HDLを増やす食生活改善
適度な有酸素運動に取り組もう
厚生労働省の「平成12年国民栄養調査」にて、1日の歩数が2000歩未満の人にくらべると、1万歩以上歩く人は10%以上もHDLコレステロールが多くなっていることが公表されています。
運動とHDLコレステロール値は密接に関係していることが分かりますね。
有酸素運動は1日20分以上続けることを目標に、軽度なウォーキングやジョギングなどから毎日取り組むようにしてみましょう。
また、有酸素運動を続けることによって、中性脂肪やLDLコレステロールの低下も期待できます。
まずは運動する「習慣作り」から始めて、無理せず楽しく汗を流してみましょう。
HDLを増やす食生活改善
HDLを増やす食生活改善で意識したいことは以下の6つです。
- よく噛んで食べる
- 野菜から食べる
- 腹8分目にする
- 炭水化物や脂質の制限
- 夜食・間食を控える
- 低カロリーのデザートを選ぶ
また、「おさかなすきやね」などの日本で長く親しまれ食べ続けられてきた和食に使われる食物を意識して摂取していきましょう。
「リコピン」がHDLを増やす?!
また、HDLコレステロールを増やす栄養素として注目を集めているのが「リコピン」です。
トマトジュースで有名なカゴメではトマトなどに多く含まれる「リコピン」を8週間継続して摂取することで、善玉(HDL)コレステロールを増やす効果があることが確認されました。
カゴメではそんな研究結果を受け、血圧にもアプローチ可能なようにGABAも含有した「カゴメトマトジュース」を開発しました。そして、機能性表示食品として消費者庁に届出し、下記の機能性表示が認可されています。
本品にはリコピンが含まれます。リコピンには血中HDL(善玉)コレステロールを増やす働きが報告されています。血中コレステロールが気になる方にお勧めです。
価格も手ごろで、購入も簡単なため日常的に取り入れることができます。ぜひ今日からリコピン生活も初めてみましょう。
さいごに
今回はHDLコレステロールに着目し、減ってしまう原因から増やし方まで紹介してきました。また、脂質異常症の診断基準、LH比についても触れてきました。
もりだくさんだったと思いますが、「体に良いこと」を行わなければHDLもLDLも改善していかないということです。ですから、運動や食生活などを振り返ってみて、今日から1つでも意識して改善してみましょう。
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