日本人はもともと中性脂肪値やコレステロール値の低い国民でした。
しかし、今では中性脂肪値が高い人は増加傾向にあります。そして「動脈硬化が進行しやすい状態」になっており、その結果、日本人の3分の1は動脈硬化が原因で起こる血管の病気で亡くなっています。
このように中性脂肪値が高い人が増えてしまったのは、食事の欧米化や交通機関の発達などによる運動不足などのライフスタイルの変化が大きく影響しています。
だからこそ、中性脂肪値を下げるために、食生活の改善が必要です。では、どんな食事が中性脂肪を下げるのでしょうか?どんな食事が中性脂肪値を高くしてしまうのでしょうか?
このページでは、中性脂肪と密接な関わりのある「食事」について、中性脂肪値を下げる食品、中性脂肪を下げる食べ方、増やしてしまう食生活、おすすめの食材など、中性脂肪と食事の基礎知識を紹介していきます。
今日からできる!中性脂肪値を下げる「食べ方」を知ろう
「食生活を改善する」と言葉でいうのは簡単ですが、やるとなると別問題。「ついつい」「うっかり」して、食生活は簡単に乱れてしまうものです。
そこで、はじめに「誰でもできる、食生活の改善なしで中性脂肪を下げる食べ方」を紹介します。食生活の改善が一番大事ではありますが、食事の内容を変えなくても、食べ方によって中性脂肪値は下がります。
では、具体的には、どんな食べ方が中性脂肪を下げるのでしょうか?ここでは「食べ方」で気を付けるべき、3つのポイントを紹介していきます。
- 野菜から食べる
- 良く噛んで食べる
- 一杯の水が中性脂肪を下げる
野菜から食べる
野菜に含まれている「食物繊維」は中性脂肪やコレステロールを包み込み、体外にスムーズに排出する役割を担っています。また、野菜から食べることで少量でも満足できることにつながり、「食べ過ぎ」を防ぐこともできます。
ですので、食事の際には「野菜」から食べるようにしましょう。
よく噛んで食べる
食事の際には「よく噛んで食べる」ことも大切です。こうすることで、少量でも満足しやすくなり、中性脂肪値が上がりやすくなる原因の1つ「食べ過ぎ」を防ぐことができます。
また、よく噛んで食べることは胃にも優しく、歯周病予防にもなり、ストレスの発散にも効果があると言われています。ゆっくり食べられる時には、よく噛んで食べる習慣を身につけていきましょう。
一杯の水が中性脂肪を下げる
そして、食事前に1杯の水を飲みましょう。「え、それだけ?」と思うかもしれませんが、水をがぶ飲みすると、一時的ではありますが、中性脂肪値が下がります。(そのため、健康診断の前日に水をたくさん飲む人もいるほどです。)
このような「水のがぶ飲み」は良い事ではありませんが、「適度な量の水を毎日飲む事」は中性脂肪を下げるとともに、体にとって必要な事です。
水は脂肪酸を排出してくれる
私達の体は水を飲むことで、体にたまった余計な老廃物を排出する事が出来ます。それは脂肪酸についても同じで、脂肪酸も体に適度な水分があれば、尿と一緒に排出=中性脂肪値が下がります。
さらに、食事前に水を飲むと、胃腸管に水がとどまり、胃がふくれるために満腹感を得やすくなります。その結果、食べ過ぎを防止できる=中性脂肪値が下がるという研究結果も出ています。
ただし、食事の直前に水を飲むと、消化液が薄められ、食べ物が消化・吸収されるのを妨げてしまいます。水を飲むのは食べる直前ではなく、30分前までに飲んでおくことがポイントです。
1日2リットルの水を飲んでみよう
次に、1日あたりに飲みたい水の量についてですが、1日の摂取量の目安は「2L」です。この2Lをこまめに摂取して、1日でトータル2Lになるように飲んでいきましょう。
「2Lも!」と思われる人もいるでしょうし、「2Lしか飲まないの?」と思われる方もいると思いますが、意外と水は飲んでいないものです。「1日にどれくらいの水を飲んでいるのかな・・・」と思われた方は、1週間ほど水を飲んだ量をレコード(記録)してみて、足りなければ意識的に飲む回数を増やしてみましょう。
中性脂肪を下げる食品
それでは、これから中性脂肪を下げる「食品」を具体的に紹介していきます。
ここで紹介する食品は、どれも私たちの身近にある食材で、特別な食材は一つもありません。気軽にスーパーで買える食材ばかりですので、今日から食卓に並べてみましょう。
また、それぞれの食材の「主な栄養素」や「成分」「効果」についても記載しています。せっかくの効果を半減させてしまう気を付けたい調理法にも触れていますので、ぜひ読み進めていってくださいね。
- 青魚のDHA・EPAは中性脂肪値を下げる!
- 納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」も効果的
- 豆腐に含まれる「グリニシン」
- 血糖値の上昇を抑える「わかめ」も優秀
- 悪玉コレステロール値が高い方にオススメ!オリーブオイル
- まだまだある!中性脂肪を下げる食べ物
青魚のDHA・EPAは中性脂肪値を下げる!
まず紹介したいのが「青魚(サバ、イワシ、サンマなど)」です。青魚には「DHA・EPA」が豊富に含まれ、DHA・EPAは中性脂肪を減らす作用はもちろん、他にも心疾患リスクを下げたり、コレステロール値を改善するなど、様々な効果がある事が分かっています。

そのため、厚生労働省も1日1000mg(1g)のDHA・EPAの摂取を推奨しています。このDHA・EPAは人間の体内では作る事の出来ない栄養素ですが、中性脂肪を下げることが分かっている栄養素でもありますので、食事から積極的にとっていきましょう。
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」も効果的
そして、日本人の健康食として有名な「納豆」ですが、納豆にはカルシウムやビタミンなど体に必要な栄養素がバランス良く含まれていることで有名です。
そして、そんな納豆に含まれる栄養素の中でも「ナットウキナーゼ」は納豆からしか摂取出来ない栄養素であり、中性脂肪対策としても効果的です。
ナットウキナーゼは血液をサラサラにするため、血栓予防や高血圧に効果があります。その効果は摂取後8~12時間程度となりますが、血栓の出来やすい時間帯は体内の水分が不足する夜間であるため、朝食よりも夕食に食べる方が実は効果的です。
そして、納豆は大豆製品のため善玉コレステロールを増やしてくれる「レシチン」や余分なコレステロールの吸収を防いでくれる「カンペステロール」、中性脂肪を減らす「サポニン」なども豊富に含まれています。
納豆はそのまま出しても一品として成立する、安価で手軽な食品なので、DHA・EPAと同じく、頻度を上げて摂っていきたいですね。
豆腐に含まれる「グリニシン」
次におすすめしたい食品は納豆と同じ大豆製品の「豆腐」です。豆腐のたんぱく質の約半分は「グリニシン」という成分です。
そして、このグリニシンは中性脂肪を減らす効果があり、特定保健用食品の成分としても使われています=中性脂肪を下げる働きがあることが分かっています。
また、豆腐に含まれるたんぱく質には「β-コングリシニン」という成分もあり、このβ-コングリシニンは血中脂肪を低減させる効果がある事が分かっています。
豆腐も納豆と同じように手ごろな価格で購入でき、スーパーだけでなくコンビニなどにも置いてある、という手軽さがとても魅力的。食材としての利用範囲も広く、様々な調理法や味付けが出来るため、毎日食べても飽きないバリエーション豊富な食材となります。
血糖値の上昇を抑える「わかめ」も優秀
「わかめ」と聞くと、味噌汁と考えてしまう人も多いかと思いますが、わかめは味噌汁以外でももっと取り入れていってもらいたい食品です。
わかめのぬめり成分でもある「フコイダン」「アルギン酸」という食物繊維は血糖値を抑え、中性脂肪を下げる働きがあり、今最も注目されている食品の1つとなります。
乾燥わかめや塩蔵わかめなど沢山の種類のわかめがあるため、サラダのトッピングや酢の物など味噌汁だけではなく有効活用していきましょう。
悪玉コレステロール値が高い方にオススメ!オリーブオイル
オリーブオイルには「オレイン酸」という不飽和脂肪酸が含まれています。そして、このオレイン酸には、悪玉コレステロール値を下げる効果があることが分かっています。
ただし、酸化したオリーブオイルは逆効果になることもあるため、買う際には「低温圧搾(COLD PRESS)」で、色のついた「遮光瓶」に入ったものを選ぶようにしましょう。
また、オリーブオイルのサイズもたくさんありますが、できる限り1か月~2か月で使い切れるサイズを選び、酸化していないオリーブオイルを意図的に使う事がポイントです。
まだまだある!中性脂肪を下げる食べ物
ここまで中性脂肪を下げる効果のある代表的で取り入れやすい食品を5つ紹介してきました。ですが、他にも様々な食品に中性脂肪を下げる効果や成分が入っている事が分かっています。
その中でも特に覚えておきたいのが「野菜」「きのこ」「海藻類」です。
この3つの食品類に、特に中性脂肪やコレステロールなどを下げる効果が高い成分が含まれています。これからはこのキーワードを忘れず、積極的に摂るようにして毎日の食生活を改善していきましょう。
また、「もっとたくさんの種類の食材を知っておきたい」という方にオススメのキーワードが「おさかなすきやね」です。
- お:お茶
- さ:魚
- か:海藻
- な:納豆
- す:酢
- き:きのこ類
- や:野菜類
- ね:ねぎ
の略で、血液状態を良くする食品として有名です。ただし、いくら体に良いといっても食べ過ぎは禁物です。「バランス良く」「体全体の健康」を考えていってくださいね。
ご飯を作る時に気を付けたい調理法
せっかく中性脂肪を減らす食品が分かっても、調理法で効果が薄くなってしまうこともあります。そこで次は、中性脂肪を下げたいからこそ「注意したい調理法」について紹介していきます。
魚の調理法!揚げるとDHA・EPAが半減します
中性脂肪を減らす事に特に効果のあるDHA・EPA(青魚)ですが、実はとても熱に弱く溶けやすい栄養素です。具体的には、焼く・煮る場合「20%」失われ、揚げた場合「50%」が失われてしまいます。
そのため、DHA・EPAを逃さず吸収出来る料理法はお刺身となりますが、そればかりだと飽きてしまいますし、美味しく食べるために煮たり焼いたりもしたいですよね。
大事な事は知識の一つとして覚えておく事です。煮る、焼くなどした時は栄養素が減るという事を覚えておき、他の食品も併せて摂取して、補うようにましょう。
また、よく食品100gあたりの栄養素などの記載がありますが、それは目安量となりす。それ以下しか摂れないという事も「理解」しておきましょう。
サラダのドレッシングにも気を使おう
中性脂肪を下げるはたらきのある「野菜」や「海藻」ですが、サラダにした場合の「調味料(ドレッシング)」にも注意が必要です。
せっかく中性脂肪を下げたいと思って食べていても、高カロリーなマヨネーズやドレッシングをたっぷり使っていては本末転倒だからです。
現在ではコレステロール値まで下げてしまうトクホ認定の低カロリーマヨネーズや、ノンオイルでも美味しいドレッシングなど様々な商品が開発されています。これらの体に良い調味料に切り替えて無理なく改善していきましょう。
中性脂肪値が増えてしまう食事も知っておこう
これまでご紹介したとおり、中性脂肪値を下げたり減らしたりする食品は私達の身近に数多くあります。そして、それらを意識的に食べることは、中性脂肪対策として重要なことの1つです。
しかし、いくら下げる食べ物を食べたとしても、高くする食べ物が増えてしまっては意味がありません。そこで最後に、中性脂肪値を高くする食品についてご紹介します。
中性脂肪値を下げる食品を摂ることばかり考えず、中性脂肪値を上げる食品の摂取を減らす事で、あなたの中性脂肪値も下がっていく可能性があります。
中性脂肪値を上げてしまう3つの食品
中性脂肪値が高いときに制限したい食品は以下の3つです。
- 炭水化物(糖質)
- 脂質
- アルコール
ご飯にデザート、メインの肉料理にお酒とこれらは全て普段の食事に欠かせないものではありますが、食べ過ぎ、飲みすぎとなると中性脂肪を上げる原因となってしまいます。
◎上記3つがなぜ中性脂肪値を高くするのか?また、他の中性脂肪が高くなってしまう原因について、下記記事で紹介しています。

どれも美味しい物が多いので、なかなか急に減らす事は難しいかと思いますが、自分の状態にあった適正なカロリーを知り、毎日の食生活を見直していきましょう。
無理なく続けられる自分の目標カロリーを設定し、毎日確実に実行する事が一番大事なのです。
さいごに
このページでは、中性脂肪値を下げる食べ方からはじまり、下げる食品・高くする食品についても紹介してきましたがいかがでしたか?
さいごになりましたが、食生活を改善しただけでは中性脂肪はなかなか下がりません。
最初にお伝えしたとおり、運動不足も中性脂肪を上げる原因となっていますので、食生活の改善、そして運動を継続的に行う事。この2点が生活習慣の改善には必要であり、中性脂肪を下げる大事なポイントです。
長年の生活習慣を改善すべく、食事や運動に配慮していけば、標準体重の維持ができるようになり、体も軽くなっていきます。最初は辛いかもしれませんが、効果が目に見えてあらわれるにつれて、モチベーションも上がってくるかと思います。
また、1人ではなかなか難しい事も多いので、ご家族の方と一緒に取り組むなどご家族の方に協力いただくのも良いですね。明るい明日のために、少しでも早く取り組んでいきましょう。


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